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ハーブの色と石けん[1]アルカネット・紫根 [├ 石けんの色]

ハーブティーや浸出油の色、ハーブそのものの色、石けんに入れたときどうなるのか、そのままの色が残るのか、特に初めて使う材料のときは気になります。「アルカリで負けて色が変わってしまいます。期待しないでね」なんていうのは簡単ですが、実際入れてみる前に変わるかどうかくらいは確認できるんじゃないかなということで軽く実験してみるシリーズ、第1回は脂溶性色素の紫根です。

■その1 紫根、アルカネットルートの色

紫根(ムラサキ草の根、和モノ)、アルカネットはそれぞれムラサキ科の植物で、古来、根を染料として用いました。特に紫根・ムラサキ草は高貴な身分の方しか身につけることのできなかった紫の装束を染めるためのものでした。
あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖ふる [額田王]
という万葉集の歌をご存知の方も多いのではないでしょうか。ここで出てくる紫野とはムラサキ草の栽培地、、標野は天領のことで、貴重な植物だったことがうかがえます。
しかし現在の日本でムラサキ草が自生している場所はすでになく、栽培技術も失われています。愛好家や研究者が細々と栽培していますが、発芽率が低いことなどであまり増やせないとのこと。残念ですね。(染料や生薬として手に入るのは中国産の近縁種、またシコニン自体は組織培養や合成により大量生産可能になっている。学名 Lithospermum erythrorhizon SIEBOLD et ZUCCARINI)
色素はシコニン、薬理作用として抗炎症作用と創傷治癒作用、殺菌作用、抗潰瘍作用が報告されているとのことです。

アルカネットは同じくムラサキ草の一種で、食品添加物の色素に使われる学名Anchusa officinalis LINNE 以外にも観賞用の園芸品種などが多くあり、中には毒性の強いものもあるとのこと。
色素はアルカニン。これは上述のシコニンの光学異性体とのこと。同じ活性を持つとは限りませんがよく似た物性であることは間違いないです。

シコニン、アルカニンとも水に不溶、脂溶性のため、アルコールやオイルで抽出します。
抽出した液は濃い赤紫色ですが、pHの観点から色変化を見、実際の石けんの色と比較して見ます。
※これらの色素はアルカリ性で構造変化し青~紫色に変化することが知られています。またかき混ぜすぎると(酸素との接触で?)灰色になり、70度以上の高温に弱いとのことです。光にも弱いため、パウダー、石けん、紫根染めの布も遮光を十分に保管することが必要です。

前置きが長くなりましたが・・・

【実験】
アルカネットルートパウダーのエタノール抽出液のpH変化を観察します。

1)pH試験液
家にあるものでいろいろなpHの水溶液を作成。

すべて約5%(重量)で作成しました(計算面倒だったので規定度Nでなくてすいません)。pH試験紙の色、写真左から
クエン酸水pH3以下、酢酸(ホワイトビネガー) pH 3-4、水道水pH6-7、重曹水pH8、セスキ炭酸ソーダ水pH10、セスキ炭酸ソーダ水を沸騰させたもの(ほぼ炭酸ソーダ水。以降、熱セスキとする)pH10以上:色が濃くて判読不能
試験紙はpH1-11のユニバーサルタイプ、高アルカリ領域は計れないが精度がよい。

2)アルカネットルートパウダーと、エタノール抽出液。濃い赤紫~赤茶色。

3)抽出液の色変化
各pHの水溶液に、エタノール抽出液を添加

【結果】
酸性 ←--→アルカリ性

酢酸・クエン酸・水道水・重曹・セスキ・熱セスキ (酢酸とクエン酸を並べ間違え)
アルカリのところ拡大

中性 ~ 酸性領域ではほぼ同じ赤色。アルカリ領域では青色を呈し、重曹では紫色、セスキ、熱セスキとアルカリが強くなるにつれ青みが増します。
紫根石けんの色と比較すると・・・よく似た変化をたどるのが分かります。
オイル ・ 完成石けん ・ 攪拌中(トレース頃) ・ 苛性ソーダ投入直後

この色からすると完成石けんのpHはおよそpH8-9くらい??
苛性ソーダ投入後とトレース時の色の差は、実はpHというより不透明化によるものではないかと思います。

【考察】なんて程のことはないけど
オイルに色が抽出できる物については、重曹かセスキ炭酸ソーダの水溶液と合わせてみることでできあがり石けんの色を予測することが可能と考えられます。
手作り石けんでよく登場する脂溶性の色素としてはクロロフィル(葉緑素・緑)、カロテン(にんじんやカレンデュラの黄~オレンジ)があり、これらはpH変化しないことが知られているので現実的には活用の機会は少ないかも?

【おまけ】
上で色素が水に溶けないと書きましたが・・・

エタノール抽出液を重曹水に添加したもの、しばらく置いといたら色素が顔料化して析出してしまいました。

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それにしても紫根石けんとまったく同じ色ですね。いいタイミングの写真が残っててよかった~。
次回は水溶性(ハーブティー)を観察します。

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■□BBS□■にも遊びに来てね。


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コメント 13

まひろん

いつもtaoさんの質問コーナー?でお世話になってます。
すごい、研究の日々ですね!流石です!
ハーブの色がどの程度出るかって最初にわかるほうがいいですものね。
ハーブはまだローズマリーしか試しておりませんが、真っ黒になりました
香りも良かったです。
ところで、ゆりくまさんが使ってらっしゃる、プラスティックの型みたいなのは
どういったものなのでしょうか?あまり見たことがないので。
シリコンかアクリルの自作ですか?
by まひろん (2007-02-26 17:29) 

O嬢

すごーい!化学実験教室みたい♪
ゆりくまさん、それはマイ試験管ですか?
試験管立てまであるなんて本格的!!!

アルカネットルートパウダー、ホントに紫根の色ソックリですね。
ワタシの赤石けんはジェル化でどピンクになっております(^^ゞ
by O嬢 (2007-02-26 17:47) 

石鹸大好き

すごいですね。本格的!さすがプロですね。
色素とアルカリの化学的変化って、本当に私にとっては未知の領域。
ヨモギ石けんは緑がきちんと残るのでクロロフィルなんでしょうか。
ということはオイルに漬け込んだほうが良いのかな・・・
今度日本酒で煮出そうかと思っているところなのですが。

すごく勉強になります。
by 石鹸大好き (2007-02-26 18:07) 

みゃも

とってもわかりやすいし、すばらしい!
今まで、「やってみないとわからない」って、なんだかあやふやなところでしたもの。ハーブティーの実験もとってもとっても気になります。
バラの花びらが、変色しないで残る方法 及び バラの香りが飛ばないで残る方法・・・ぜひ発見してくださーーーい
by みゃも (2007-02-26 19:19) 

ちな

石けん作りも奥が深いんですねー。とても難しそう。
by ちな (2007-02-26 22:20) 

砂姫

ゆりくまさま はじめまして。
O嬢さんのblogから伺いました砂姫と申します。

こうして化学的に比較実験をするのってすごいですね!
わかりやすく整理されていてとても参考になりました。
水溶性の比較実験も非常に楽しみにしています。

これからも遊びに伺わせていただきますね☆
by 砂姫 (2007-02-27 15:29) 

ゆりくま

▼みなさんコメントたくさんありがとうございます。
少々忙しいので、後ほどゆっくりお返事させていただきます。ちゃんとみてますので~。
by ゆりくま (2007-02-28 01:54) 

toakon

素晴らすう!
4本並べた試験管と、石けん作る過程の色変化の移り変わりのお写真がナイスです。
これからも実験シリーズお願いします!読んでて楽しいっす。
by toakon (2007-03-01 01:17) 

nadesiko

楽しそう♪
実験って学生の時大好きでした。
性格的に一滴ずつは難しかったりしてましたが、その緊張感がよかったですよね~。
色の変化とかこうやって並べると実感できますね。
水溶性と脂溶性のことも改めて考えました。
そのまま投入のものとインフューズドオイル、煮出し。使い分けが必要なんですね~

でも、きっと私はその場の加減で入れてしまうんだろうな・・・。
by nadesiko (2007-03-01 08:51) 

みゃも

お忙しいのですから、お返事はいらないのですよぉ 
たくさんの方が、このページを見て感動してるのですね
ただ石鹸の作り方や、こんな石鹸作りました、ではなく、一歩も二歩も突っ込んだ実験や詳しい説明、写真が、な~~るほど・・・と、半分眠っている私の脳に刺激を与えてくれています。
by みゃも (2007-03-01 14:46) 

ゆりくま

▼みなさんこんばんはー。
■まひろんさん
ローズマリーは濃い色出ますよね。ティーは苦手だけど、食べるのと石鹸は大好きです。
プラスチックの型というのは。。。どれのことでしょう?
今のところ型の自作はしていないのでどこかで買ったものと思いますが。
ここかBBSにでも記事を教えていただければお答えできますので。

■O嬢さん
マイ試験管です。お友達のお父様が薬局をやめられたときのものを譲っていただきました。巨大乳鉢もありますよ。試験管立てはステンレスじゃないレトロな感じがお気に入りです。
本文にも書いたとおり、紫とアルカネットはほぼ同じ植物なのでした。

■石鹸大好きさん
クロロフィルです。緑の植物の色はインフューズドオイルやパウダーならちゃんと残ります。熱にはさほど強くないので長時間煮込むと茶色になってしまうかも(お味噌汁に入れた青菜の色が冷めてしまうように)。また光合成のための成分なので光で変化します。保管には遮光が必須です。植物の色素はどれも光は駄目なようです。

■みゃもさん
薔薇の花の色と香り・・・永遠のテーマですね。香りは量で何とかできそうだけど色はなぁ。秘めているアイデアは失敗しそうなんですよね。

■ちなさん
難しくないですよ!
私が書くと、くどくて面倒な感じがするだけです。。。

■砂姫さん、はじめまして~。
石鹸作るより、すぐ結果の出る遊びがしたいこともあるのです。
色の変わる実験は楽しいですよ。

■toakonさん
ご期待に沿えるかどうか、すでにネタ切れ気味です。
たまたま紫根石鹸はいい写真を撮っていましたが、製作過程が残っていることはまれですし。。。
なんでも石けんの前に試験管に入れちゃいますから、秘めていることがありましたらこっそり教えてください。。。

■nadesikoさん
ビュレットの滴定のお話かな。私はだーーーっと流し込んで行き過ぎる直前でストップさせる遊びにスリルを感じていました。

私もどちらかというと勢い派。でもオイルに色がでなくてがっかりしたり、ローズヒップやアルカネットをその場の勢いで入れてえらいことにしてますんで、反省して少し考えてみることにしました。
by ゆりくま (2007-03-02 02:35) 

まひろん

すいません、プラスティックかシリコンかアクリルかわからないのですが、緑茶の石けんに映像が出ているものです。http://blog.so-net.ne.jp/natural_kumaguma/2006-07-17-2/trackback
形がきれいに出来そうだなって思ったので・・・
by まひろん (2007-03-05 16:40) 

ゆりくま

■まひろんさん
あー、細長いヤツですね。
あれは和菓子用の「トヨ型」というヤツです。アルミ製のが多いのですが、あれはポリカーボネート製です。浅草橋の東洋商会お菓子の森で買いました。
http://www.okashinomori.com/
昔楽天で検索したらヒットしたこともあるので、探してみてください。
長さは3種類くらいあって、私のは32cmくらいの(中)ですが、保温箱にも置き場所にも困るので一番短いヤツにしとけばよかったと後悔しています。型出しはしにくいです(固くて変形させにくい)。ワセリン塗っても冷凍になることもありますが、出てしまえばきれいな形ですよ。
by ゆりくま (2007-03-05 23:38) 

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