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KOH(水酸化カリウム)の話 [├ 用語・材料・化学っぽいこと]

石鹸に使われるKOH(水酸化カリウム、苛性カリ、水酸化K)についてメール質問いただきました。


◆質問要旨

一般的に苛性カリは液体石鹸、苛性ソーダは固形石鹸に使うということだが、苛性ソーダを使うリキッドを作っている人もいる。
逆に市販石鹸では固形石鹸でも苛性カリと苛性ソーダ両方が使われていることがある。
なぜ苛性カリを使う必要があるのか。苛性カリが使われている市販石鹸はどのくらいの配合比率なのか。


◆回答

いきなり余談ですが、質問メールの文中に”生せっけん”というのがありまして・・・
なんじゃそりゃ、と検索したところ、クリーム状の石けんのようですね。(何がナマなんだか謎ですが)
クリーム状・ペースト状の石けんは実は昔からありました(たぶん昔のほうが多かった?)。現在のように軽い樹脂性密閉容器が無い頃は希釈済みの液体石けんは物流コスト上のデメリットが大きいため(重いガラス瓶と水を運ぶようなもの)、クリーム状やペースト状が主流だったのでしょう。今のものだと石けん歯磨きや某九州の火山灰入り石けんなんかもその類ではないでしょうか。L○SHにもありますね。
USAの手作り石けん本やWebサイトにはクリームソープ、ホイップクリームソープという名前でレシピが紹介されていたりします。鹸化とホイップに分けて何日もかかる手順が多いので私は手が出ないでいますが、いよいよこの夏 たおさんが講習会をされるそうなのでちょっとしたブームがくるかもですね。


話を戻して

「苛性カリを使う必要性」まではなかなか断言できないので、KOHで作るカリ石けん(以降 K石けん)とNaOHで作るナトリウム石けん(以降 Na石けん)との違い、カリ石けんのよいところについて書いていきたいと思います。


(以下、すっごい長文です)


---希釈したときの性状の違い---

K石けんは水に溶けやすい、というより、水に溶かした(水でふやかした)時の状態がNa石けんと異なります。
手作り液体石けんは通常、リキッドの素(水分量40-50%くらいで鹸化させたK石けん)を2倍ほどの水に溶かします。これでサラサラした石けん液が得られます。サラサラして手にとって使いにくいので敢えて増粘剤を添加します。
Na石けんをこのくらいに希釈してもサラサラの液は得られません。温かいときは液だったとしても冷めて時間がたつにつれプルプルあるいはネバネバしたジェル状、脂肪酸組成によっては固めのゼリーのようにしっかりと固形化してしまうこともあります。固まりやすい高分子量の飽和脂肪酸を廃し、アルコールやグリセリン、糖類など、結晶化を阻害するような混ぜ物をすることでプルプル化を防いである程度の流動性を保つことができるようになります。これが質問中にある「苛性ソーダを使うリキッド」です。

若干誤解を招くことを承知でイメージしやすい言葉を使うと、Na石けんは結晶性が高く、周りの水分子にも強く作用して含水結晶を作りたい性質、K石けんは逆に結晶性は低く自身から遠くにある水分子には強い作用を及ぼさない性質があるのです。(Na石けん → 遠くの水とも束縛しあって動きにくいので重たくなる。 K石けん→ 水と相互作用せずお互いが好き勝手に運動しているのでサラサラ。)
この違いはNa+イオンとK+イオンの水和物(水に溶けている陽イオンは必ず水分子と電気的に結びついた水和物を形成します)の性質の差からくると考えられますが、非常に難しい理論で私も本質的に理解できていないのでこれ以上説明できません。

リキッドソープほど希釈されていないクリーム状の石けんにもK石けんがメインに使われるのは、クリームをすくい取るのにサラッとした切れのよいテクスチャが向いているからではないでしょうか。Na石けんメインではねばーっと糸を引いて容器の口を汚したりしそうです。少量のNa石けんも添加されるのは、ある程度の硬さを出しつつ、水分の蒸発による固形化を防ぐ目的があるのではないかと考えられます。

以上は固体、液体、ジェル、クリームなどどのような状態の石けんが使いやすいかという部分の話なので、お好みで苛性ソーダと苛性カリを使い分けてみればよいと思います。


---肌への適性の違い---

実はカリ石けんは化粧・浴用石けんとしての使用に優位性があるとされています。

◇皮膚の軟化作用を持つといわれています

ご存知のとおり石けん原料に使う苛性カリ(水酸化カリウム)は劇物です。しかし非常に希薄な水酸化カリウム溶液には皮膚を軟化する作用があることが知られており、グリセリンカリ液(ベルツ水:あかぎれ治療薬)など、医薬品、医薬部外品の美容液等にその目的で配合されています。(そういう市販品はアルカリ性でも他の成分が安定化するように設計されているので、自分でKOHを追加してみようとしないでくださいね!)
これも先に書いたK+イオン水和物の作用とのことです。
カリ石けんに皮膚軟化作用が言われるのもこの延長と考えられます。

◇泡が乾きにくい

表現の意味するところがわかりにくいのですが、Na石けんに比べてK石けんは吸湿性があるため乾燥しにくいのだそうです。そのため長時間肌に乗せているシェービングフォーム等には多めに配合することが推奨されます。



---市販固形石けんに入っているカリ石けん---

比較的高級な固形透明石けんに入っていることが多いと思います。残念ながら配合比率はわかりません。
透明度を増す、上記のように肌適性を増すなどの目的があると想像します。



以上
----------------

回答になっているのかいないのか? よくわからない文章で申し訳ありません。

日本では苛性カリ購入には若干手間がかかることが多いし、苛性ソ-ダに比べれば高価ですが、性質には違いがあるので、特性を活かした使いわけができるとよいですね。


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参考 :

CPで作るクリームソープ レシピ&手順 (英語)
How to Make Cream Soaps
http://www.snowdriftfarm.com/form_whippedsoaps.html
Lye(アルカリ水)にオイルを注ぐ作り方です。作業は1回だけ。やってみようかなぁ。

(本)
"THE EVERYTHING SOAP MAKING BOOK 2nd Edition" Alicia Grosso 2003
"石鹸製造化学" 中江大部 1950


この話とは全く関係なく(別目的で)、先日KOHとNaOHの混合石けんを作りまして・・・
見事に失敗した模様(涙)。また後日レポート書きます。

水酸化カリウムなくなりそう。注文しないと!

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まゆ★

こんにちは^^
先日はクリームソープの記事にコメントをありがとうございました。

そうなんです!私がこんかいクリームソープを作りたいと思ったひとつの原因は
ジェルソープのように大量の水で希釈しなくても済むこと、ジェルソープのようにネバネバしたり
元になった石けんによっては希釈しても再固化してしまうことがない石けんを
作りたかったんです。

でも、そう思ってレシピ等も探し出しただけで、なぜKOHとNaOHの混合でなければ
ならないのか、それぞれにどんな性質があるのかなど何も考えていなかったので
後から疑問が色々とわいてきて・・・。

石けん作りって「化学」なんだな~と、ゆりくまさんのこの記事を読ませていただいて
あらためて実感するとともに、化学オンチでも分かりやすい言葉で教えてくださって
本当に感謝です!

ゆりくまさんの混合石けんの記事も楽しみにしています!
by まゆ★ (2010-06-11 11:34) 

Piru

こんにちは。
さすがゆりくまさん!
なんとなく理屈は分かっていても自分では言葉にできなかったので
これを読んですっきりした気がします。

K石けんとNa石けんの大きな違いって保水の仕方、ですよね。
私もそこに着目してK:Na=1:4の比率、水分多めのCP石けんを作りました。
クリームというか、ヴェポラップみたいなテクスチャの石けんになってます。
カリを使うせいか、透明感がでてしまいます。
ホイップしたら白っぽくなると思うので解禁のころにやってみる予定です。

by Piru (2010-06-11 12:28) 

ボコ

久々に脳みそが稼働した気がします。。。
いつものごとくなんとなーくしか理解できませんがw
アホでスミマセヌ・・・。

苛性カリ、興味はありますが、こちらでは中々扱って
くれる薬局が無いらしいのです~。
何時の日か手に入りますように・・・。

あ、明日、ゆりくまさんのウル抽方やってみようと
思っています!初ウル抽なので失敗するかも
ですが、ワクワクドキドキです(*゜▽゜)ノ
by ボコ (2010-06-11 14:54) 

あまのはづき

こんにちは!
私はL○SHでホイップクリームソープを見て「どうやって作るんだろ?」と思っていたところ、
まゆ★さん&Piruさんのところでホイップクリームソープを見たので、
こりゃタイミングがいい!と思って作る気まんまんになってました。
そのために苛性カリもステアリン酸もハンドミキサーもゲットし・・・。

なんでカリを入れるとホイップ状が保てるんだろう、と疑問に思っていたのですが、ゆりくまさんのこの記事で納得できました。
実はナトリウム石けんに水を入れてホイップして、「できた気」になってたのですが、案の定数日後にカチカチになりまして・・・(^^;

近いうちにホイップクリームソープ作ってみます。
あ、85%の換算も忘れないように、ですよね。
by あまのはづき (2010-06-11 15:42) 

ゆりくま

▼たくさんのnice! & コメントありがとうございます。

■まゆ★さん
先日はおじゃましました。

時間をおいたNa石けんジェルのねばねばは何ちょっと気持ち悪いので、K石けんのさらっと感を上手に活用したいものです。
でもKOHとNaOHを混ぜると単独ではまた違う性質が出てくるんですよね。
なかなか難しい&謎です。

■Piruさん

私の混合石鹸もヴェポラップ状です(nice表現!)
ホイップにするつもりじゃなかったんだけど、そういう風に使わないと消費できないかなぁって感じです。ソフトオイルばっかりなんだけどなぁ。

上のリンク、CPでクリームソープ作っているのでよかったら見てみてください。

■ボコさん
話のわかる薬局見つけるのが大変ですよね。
絶対取りよせなので、粘り強く交渉です。

ウル抽、そんなに怖くないですよ。勝負早いし(笑)
がんばって!

■あまのはづきさん
Na石けんでカチカチホイップ?!
それはそれで面白いかも。(あれ?泡はへたれなかったのかな?)

みなさんホイップクリームソープに挑戦されるんですね。
楽しみにしてます~


by ゆりくま (2010-06-13 10:05) 

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