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過炭酸ナトリウムと石けん [├ 用語・材料・化学っぽいこと]



酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)入りの石鹸を作りたい、というご質問をいただきました。

質問のポイントは「コールドプロセスの固形石鹸を作る過程で過炭酸ナトリウムを混ぜ込む方法」です。
実は一度試されて、保温中にタネが膨らんでイギリス食パンのようになってしまったのだそうで、なぜ膨らむのか、膨らませないで作るにはどうしたらよいかというご質問でした。


まずはじめに酸素系漂白剤、過炭酸ナトリウムとはどんなものなのか、次に石鹸との相性、そしてコールドプロセス製法について考えてみたいと思います。


※写真は炭酸塩入りの粉石鹸で、本文とは直接関係ありません。。。



■過炭酸ナトリウム(Na2CH2O6 または 2Na2CO3・3H2O2 または Na2CO3・1.5H2O2)

過炭酸ナトリウムという名前ですが炭酸が過剰なわけではなく、炭酸ナトリウム2分子に過酸化水素3分子の比率で混合した付加化合物です。
水溶性の固体で、水溶液は弱アルカリ性となります。

過炭酸ナトリウムは水溶液中では自然に炭酸ナトリウム(Na2CO3)と過酸化水素(H2O2)に分離します(反応(1))。
炭酸ナトリウムはイオン化して水溶液をアルカリ性にします(反応(2))
過酸化水素はアルカリ性の水溶液の状態で加熱されると活性酸素(HO2-)を生じますが、活性酸素は極めて短時間しか存在できないため、巨視的には水と酸素(O2)に分解したように見えます(反応(3))。

これを化学式であらわすと以下のようになります。

2Na2CO3・3H2O2 → 2Na2CO3 + 3H2O2 ・・・・・・・・(1)
Na2CO3 + H2O → 2Na+ + HCO3- + OH- ・・・(2)

2H2O2 → 2H2O + O2 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)

(1)の過酸化水素を放出する分離、(2)のイオン化は速やかに起こります。
(3)の分解は温度やpHに大きく依存しますが漂白剤として効き目がある範囲ではおよそ何分から何時間の間に終了というオーダーで進みます。

(3)の過程で発生する活性酸素が極めて強い酸化力を持ち、汚れの色素成分を分解(漂白)します。
また酸素ガスが発生する際の発泡により物理的な洗浄力を発揮します。

(3)の分解まで終わってしまった液は比較的phの高い「炭酸ナトリウム水溶液」です。


■石鹸と過炭酸ナトリウム

漂白剤やアルカリ性の洗浄剤として使い勝手の良い過炭酸ナトリウムですが、実は過炭酸ナトリウムと石鹸とを一緒に使うことはあまりお勧めできません。

特に漂白の効果を求める場合には上述のように活性酸素の働きが重要となりますが、石鹸が共存している溶液中では活性酸素は汚れに作用する前に石鹸成分と反応してしまうためです。
そうすると結果的に石鹸と炭酸ナトリウムの水溶液となり、たとえばアルカリ助剤として炭酸ナトリウムを加えた洗濯用石鹸と変わりがありません。
もちろん炭酸ナトリウムが手に入らないときに代わりに過炭酸ナトリウムを使うという理由ならこれで十分効果的です。


■コールドプロセス石鹸と過炭酸ナトリウム

さて、ようやく質問の主旨になります。

質問者さんは固形の家事用石鹸を作るため、コールドプロセスでのトレース時に500gバッチに対して大匙2杯程の粉状の酸素系漂白剤を混ぜ込み、アクリルモールドに型入れして保温しました。そして1日後に保温から取り出したところ、上部にぶわっと膨らんだイギリス食パン状態になっていたとのことです。

膨らんだ理由は明らかで、保温中に過酸化水素が分解して発泡したためです。

保温の程度にもよりますが「保温した」と断言できる状態なら石鹸の内部はおおむね40℃以上になり、適度に水分もあり、過炭酸ナトリウムの分解が進むには十分な条件がそろっています。

また、発泡したことですでに活性酸素は無くなっており、残念ながら漂白剤入り石鹸とは呼べなくなっています。
いうなれば炭酸塩入り石鹸です。

では発泡させない混ぜ込み方があるかといわれると、普通のコールドプロセスの温度管理ではちょっと難しいのではないかと思います。
ホイップクリームソープのように型出しまで極低温で進める手順の途中で混ぜ込むのであれば最小限に抑えられるかもしれませんが、時間がかかるだけで結局分解するものなので程度問題です。いずれにせよ漂白作用は期待できません。

そして、苛性ソーダを溶かす水にあらかじめ溶かす方法だけは絶対にやってはいけません!
過炭酸ナトリウムを水に溶かしたところでは特に異状ないように見えても、そこへ苛性ソーダを溶かした時の発熱で急激に発泡して強アルカリ水が吹きこぼれる危険があります。発泡力はお酒などの液体オプションとは比べ物になりません。


一応 結論ぽいことと推奨です

➢ 膨れたのは保温中に過炭酸ナトリウムが分解して発泡したため。
➢ 水分が存在しそこそこの温度がある環境で、発泡させないのは困難
➢ 発泡する、しないにかかわらず、石鹸に過炭酸ナトリウムを混ぜても漂白効果は期待できない。石鹸で洗ったあと、別途温水で漂白するのが効果的。
➢ 石鹸の洗浄力を高めるためのアルカリ剤としてなら機能するが、その目的なら炭酸ナトリウムやセスキを用いるほうが簡単。
➢ アルカリ助剤として炭酸ナトリウムやセスキが手に入らず過炭酸ナトリウムしかない場合は発泡してもよいように大きな空間を残せる型を使うか、事前に煮沸して完全にガス抜きをした溶液を使う(重曹水を煮沸してもよい)。


以上--------

ご質問のブログ転載をご許可くださったMさん、ありがとうございました。


余談ですが、敢えて発泡させる前提で十分余裕のある型を使えばふわふわの水に浮く石鹸ができますね。(過炭酸ナトリウムでは炭酸ナトリウムが残るので肌に使うのはお勧めできませんが)
肌に悪影響なく40℃くらいでゆっくり発泡する材料があると面白いかも。


過炭酸ナトリウム/酸素系漂白剤の効果的な使い方(方法,使用量)や他のアルカリ剤(重曹、セスキ、炭酸ナトリウムなど)との使い分けは石鹸百科さんを参照くださいませ。



ーーー参照ーーーーーーーーーー

石鹸百科 --- 過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)
http://www.live-science.com/honkan/partner/percarbonate.html

wikipadia --- 炭酸ナトリウム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%94%E5%AE%9A%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%99%82

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